一部の船釣りでは必要不可欠な電動リール。最近では、パワー重視やスピード重視の用途に応じた電動リールや、スイッチ一つでパワー・スピードのどちらかを重視する機能の電動リールなど、様々な種類や機能の物が登場してきました。
その電動リールを動かす為に必要になるものがバッテリーです。
船の電源を使用する方法もありますが、電源を取得できる端子の位置が座席から離れていたり、座席の下に端子があり、電動リールのケーブルが邪魔になったり、端子がボロボロや、船の電圧が安定しないなどと言うこともあり、バッテリーを持参する人は多いかと思います。
バッテリー次第で電動リールの性能(パワー・スピード)を高める事ができるのは ご存じでしょうか?
そのバッテリーはリチウムイオンバッテリーです。
ここでは、リチウムイオンバッテリーやその他のバッテリーの特徴など、釣りに必要な内容に絞って紹介したいと思います。
電動リールで使用するバッテリーの種類
電動リールで使用するバッテリーは、大きく分けて2種類あります。
鉛バッテリー と リチウムイオンバッテリーです。
電動リールが作動する電圧はDC12~16.8Vの範囲(大型リールなど一部例外あり)で動作する為、バッテリーもこの数値内の電圧になっています。鉛バッテリーの電圧は12Vより少し高め、電動リール用リチウムイオンバッテリーは14.8V前後とリチウムイオンバッテリーの方が電圧は高めになっています。
この高めの電圧のおかげで、鉛バッテリーよりリチウムイオンバッテリーの方が、パワー・スピード共に約20%性能UPする事ができます。
ここまでは、リチウムイオンバッテリーの方が良いように思えますが、リチウムイオンバッテリーにも短所はあり、鉛バッテリーにも長所はあります。
鉛バッテリー・リチウムイオンバッテリーの共通した特徴
・低温では、バッテリーの容量の最大値が低下
夏場と冬場ではバッテリーの持ちが違い、冬場など気温が低いとバッテリーの減りが早くなります。鉛バッテリーの方が低温時の影響は大きく出ます。
・継ぎ足し充電可能(メモリー効果無し)
浅い充電と放電を繰り返すことでバッテリーの最大容量が減ってしまう現象を「メモリー効果」と言いますが、鉛バッテリーとリチウムイオンバッテリーはメモリー効果はありません。充電式乾電池に多く使用されているニッケル水素電池では、常にメモリー効果が起きます。
・強い衝撃はバッテリーの破損や火災、破裂などの恐れあり
船の上は不安定な為、バッテリーを落としたりしないように注意しましょう。
鉛バッテリーの特徴
鉛バッテリーは自動車などに多く使用されているバッテリーです。大きく分類すると「シール形」と「ベント形」の2種類あります。
シール形は密閉型でメンテナンス不要のタイプになります。電動リール用で販売されている鉛バッテリーはシール形が多いです。
ベント形は開放型でメンテナンスが必要なものになり、中の液体(希硫酸)が少なくなったら、補水が必要になります。
大きな特徴は以下のようになります。
・満充電が一番劣化しにくい
保管する場合、満タン状態にする事で劣化を最低限に抑える事ができます。自然放電する為、長期間保管する場合は使用しなくても、時々充電が必要になります。
・容量単価が安い
数あるバッテリーの中でも容量単価が安いのが特徴です。コスト重視の方にオススメなバッテリーです。
・大きく重い
同じ位の容量の場合、リチウムイオンバッテリーの約3倍重くなります。
・放電しきる(残量0)と使用できる電池容量は低下
放電しきるたびに充電できる最大値が減っていきます。例えば100充電できていたものが、一度放電しきると99までしか充電できなくなり、もう一度放電しきると98までしか充電できなくなります。通常、減った最大値は元には戻りません。
・電圧は12.0Vを少し上回る位
劣化したり、充電容量が減ってくると電圧は徐々に下がっていきます。
リチウムイオンバッテリーの特徴
身近なところでは、スマートフォンやパソコンなどに使用されているものがリチウムイオンバッテリーです。さまざまな機器に使用されていて、今や生活に欠かせないものになっていますが、便利な反面、注意事項が多いのも特徴の一つです。
大きな特徴は以下のようになります。
・小型・軽量
色々な種類のバッテリーの中でも、小型で軽い
・寿命が長い
鉛バッテリーに比べ、寿命が長くなります。使用状況や環境、保管方法などにより異なりますが、通常300回程度の使用(充放電)で使用できる容量が半分程度に低下します。
・自己放電が少ない
バッテリーは使用しないで放っておくと少しずつ自然放電していきますが、他のバッテリーに比べ、放電量が少なくなっています。
・容量単価が高い
利点が多い分、容量単価が高くコスト高になってしまいます。性能重視の方にオススメなバッテリーです。
・低温・高温での使用・保管は劣化が早い
使用時(放電時)はー20~45°、保管時は0~30°(20°以下推奨)。この温度以外での使用や保管はバッテリーの劣化を早めます。特に60°を超える使用や保管は液漏れ、発火、破裂の恐れがありますので、真夏の炎天下の下などで使用する場合は注意が必要です。
・充電時の適正温度の範囲が狭い
10~35°以外での充電は、性能や寿命の低下、破裂や変形などの恐れがあります。真夏や真冬の充電には注意が必要です。
・満充電状態で保管すると電池の劣化は急激に進行
保管する場合、満タン状態で保管する事は避けましょう。釣行1日前に充電する事をオススメします。リールの負荷が少ない釣りへ行く場合、わざとバッテリーを満タンに充電しない方法もあります。
・放電しきった状態(残量0)で放置すると、充電できなくなり使用不能になる
リチウムイオンバッテリーは保護回路が働いて、ある程度電力を残してシャットダウンします。本当の残量0にしてしまうと、壊れて使用不能になってしまう為です。保管する場合は残量30~50%を目安に保管しましょう。
・短絡時には急激に過熱する恐れあり
+と-がショートすると急激に過熱し、火傷や火災の原因になります。バッテリーをバックの中にしまう時などに注意が必要です、
・電圧は14.8V前後
ダイワ・シマノ・汎用品などのリチウムイオンバッテリーは14.8V前後の電圧になるよう作られていますので、鉛バッテリーに比べ、電動リールのパワー・スピード共に約20%性能UPします。
バッテリーのV(ボルト)、Ah(アンペアアワー)について
電動リール用バッテリーを見てみると、DC14.8V 9.2Ahと言った数字が登場します。DCは直流の意味で、14.8Vは電圧、9.2Ahは電流と時間の積算値で9.2Aの放電を1時間行える・・・ と説明が難しくなってしまうので、釣りに必要な事だけ簡単に説明します。
例はDC14.8V 9.2Ah
オススメ鉛バッテリー
鉛バッテリーの最大の長所は価格が安い事です。そんなコスト重視の鉛バッテリーをいくつか紹介します。
ダイワ・シマノの電動リールで使用可能でトラブルの少ないDC12V 12Ahのシール形鉛バッテリーです。重量3.4kg、専用のショルダーバック、充電器付きです。
ダイワ・シマノの電動リールで使用可能でトラブルの少ないDC12V 20Ahのシール形鉛バッテリーです。大容量で大型電動リールまでカバーしますが、重量5.7kgと少々重めです。専用のショルダーバック、充電器付きです。
オススメリチウムイオンバッテリー
性能重視のリチウムイオンバッテリー。価格は鉛バッテリーに比べ上がりますが、小型軽量でパワー・スピードが上がるなどの利点が多いです。
ダイワ製11Ahの残量チェック機能付きのリチウムイオンバッテリーです。メーカー推奨は1200サイズ以下、300サイズ以下は2台同時接続可能です。重量は1190g、充電器無しも選択可。
シマノ製11Ahの残量チェック機能付きのリチウムイオンバッテリーです。重量は1700g。
最後に
船釣りから堤防、砂浜などの陸っぱりまで、様々な釣りのタックルや仕掛け、仕掛けの作成方法を対象魚別に詳細なイラスト付きで紹介しています。