船釣りタックル紹介 カツオ(キャスティング)編

 

カツオの基本的なキャスティング用タックルです。(イラストをクリックすると拡大して見る事ができます)

船のルアーフィッシングは大きく分けて「ジギング」と「キャスティング」の2つに分かれます。ジギングは、ジグやメタルジグと呼ばれる金属製のルアーを魚のいるタナ(水深)まで沈め、生きているかのように動かし、小魚を捕食している大きな魚を釣る方法です。キャスティングは、プラスチック製、金属製、木製などのルアーを投げ、生きているかのように動かし、小魚を捕食している大きな魚を釣る方法です。

キャスティングでカツオを狙う場合、メタルジグを中心にトップウォーターやシンキングミノーを使用します。そして、カツオは目が良い事が特徴で、カツオに違和感を与えないようにする為、スイベルやスプリットリングのサイズは、あまり大きなものを使用しない、リーダーの結び目は長くしすぎないなど、目出させない事がポイントです。

キャスティングはルアーを投げる技術が必要になり、乗合船ではアンダーキャスト(下投げ)が基本で、飛距離が出しにくい投げ方になる為、初心者には難しい釣りになります。

釣果を伸ばす為には相手を知る事が大事です。と言う事でカツオの紹介です。

 

カツオってどんな魚?

大きさ
  • 大きい個体で1m、重量20kgまで成長
生息域
  • 沖合の表層~中層を遊泳
  • 太平洋側に多い
捕食している生物
  • 魚類
  • 甲殻類
  • 頭足類
特徴
  • 暖かい海水温を好む
  • 南の海から春になると北上し、秋の海水温の低下と共に南下する回遊魚
  • 南下しているカツオは「戻りガツオ」と呼ばれている
  • 大小の群れで行動する
  • 群れには「キメジ」が混ざる場合がある(キメジ:サイズの小さなキハダマグロ)
  • 木材などの漂着物やジンベイザメやクジラに着く習性がある
釣りでの注意点
  • 目が良い為、仕掛けには注意が必要
  • 戻りガツオは初ガツオに比べパワーが増す
釣りのシーズン
  • 5~11月
狙う水深
  • 表層~中層
産卵期
  • 夏(日本国内)
  • 5~6月(初ガツオ)
  • 9~10月(戻りガツオ) ※戻りガツオは脂乗りが良い
食べる場合の注意点

アニサキスがいる可能性あり。アニサキスは魚の内臓に潜んでいて、魚が死ぬと身の方へ移動する。アニサキスは3℃を超えると動き始める性質がある為、釣った魚をよく冷やす事が重要

その他

カツオはマグロ同様に泳ぐのを止めてしまうと死んでしまいます。理由は自分の意志でエラを動かす事ができない為、口を開けながら泳いで常にエラに海水を流していないと、エラから酸素を取り入れる事ができなくなり、酸欠で窒息死してしまいます。その代わりに、高速で泳げる体型で持久力もあり、瞬間的に時速60km程で泳ぐ個体もいます。

 

リール

リールの種類
  • スピニングリール

リールには「ギア比」があり、数値が大きいとリールのハンドル1回転でラインを巻き取れる長さが長くなります。リールにパワーが必要な場合はギア比の小さいリールを、仕掛けを素早く回収し手返しよく釣りをする場合などは、ギア比の高いリールがオススメです。キャスティングではギア比の高いハイギア(巻き取り速度の速い)のリールが向いています。

 

リールサイズ
  • 使用するラインが200m以上巻けるもの(PE1.5~3号)
  • ダイワ : 4000~6000番
  • シマノ : 4000~6000番

 

入門用オススメリール

価格が抑えられた釣り具大手メーカー(ダイワ)のこの釣りに向いているスピニングリールです。多くのスピニングリールのハンドルは、右巻き、左巻きのどちらにも自由に変えられる特徴があります。

 

中級クラス オススメリール

初心者向けリールより基本性能が高く、耐久性も上がっている為、少し高性能なリールが欲しい、長くリールを使用したい方などにも向いています。

 

高性能オススメリール

最高性能のスピニングリールです。性能重視の為、価格は高額になってしまいますが、ドラグ性能、ハンドルを回した時の滑らかさなど、様々な面でトップクラスの性能を誇っています。

 

ロッド(竿)

最適なロッド
  • オフショアキャスティングロッド(最大ルアー重量が45~80g程度)

長さは7~8.5フィート(2.1~2.6m)で、乗合船ではアンダーキャスト(下投げ)になる為、7~8フィートのものが扱いやすく、チャーター船などの貸し切りの場合は8フィート以上のものがオススメです。

ルアーロッドの場合、長さはft(フィート)とinch(インチ)で表す事が多く、以下のような計算方法になります。

  • 1ft=30.48cm
  • 1inch=2.54cm
  • 1ft=12inch
  • 例 9.6ft=(30.48×9)+(2.54×6)=289.56cm
  • 例 7.11ft=(30.48×7)+(2.54×11)=241.3cm

 

入門用オススメロッド

価格を抑えた、初心者向けのオフショアキャスティングロッドです。

 

中級クラス オススメロッド

基本性能が高く、しなやかさ、感度などが上がっている為、扱いやすくなっています。

 

高性能オススメロッド

高性能ロッドです。性能重視の為、価格は上がってしまいますが、グリップの形状にもこだわり、細かい所の作りもしっかりしている為、見た目も良いロッドになっています。

 

ライン(道糸)

素材
  • PEライン
号数(太さ)
  • 1.5~3号
長さ
  • 200m以上

 

リーダー

PEラインを使用する場合は、ナイロンかフロロカーボン製のリーダー(ショックリーダー)を使用します。PEラインは根ズレに弱く、透明なものがありません。この弱点を補う為にリーダーが必要になります。

号数(太さ)
  • 30~50lb(8~14号)
長さ
  • 1.5~5m
素材
  • ナイロン
  • フロロカーボン

素材については主にナイロン、フロロカーボンの2種類あり、それぞれ以下のような特徴があります。

ナイロンリーダーの特徴

  • 価格が安い
  • 糸グセはフロロカーボン製より付きにくい
  • 扱いやすい
  • 伸縮性がある為、衝撃を吸収できる
  • 感度は劣る

 

フロロカーボンリーダーの特徴

  • 根ズレや擦れに強い
  • 透明度が高い
  • 伸縮性はナイロンより少ない
  • 糸グセが付きやすい為、扱いにくい

 

リーダーの結び方

カツオは目が良い為、結び目が小さく強度が高い結び方でリーダーと金具を結びます。エサ釣りでよく使用されている「完全結び」がオススメです。

完全結びの結び方はこちらへ

これだけは覚えておきたいライン(釣り糸)の結び方 ラインと金具編

 

PEラインとリーダーの結び方は「FGノット」や「PRノット」がオススメです。

FGノット、PRノットの結び方はこちらへ

これだけは覚えておきたいライン(釣り糸)の結び方 ラインとライン編

 

ルアー

メタルジグを中心に使用します。トップウォーター、シンキングミノーなどでも狙う事はできます。

メタルジグ

ほとんどが金属でできている為、トップウォーターやシンキングミノーでは狙えない深いポイントも狙う事ができ、逆風にも強く、飛距離を出す事ができるルアーです。

カツオジギングで使用するメタルジグは、シルエットの小さなメタルジグ向いていて、多くのメタルジグの素材で使用されている「鉛」より比重の重い「タングステン」と言う金属でできているメタルジグが有効です。

30~60gの重さのメタルジグを使用し、カラーは、晴れている日中はシルバー系、ブルー系、グリーン系などのリアルカラーを中心に使用し、朝夕や雨で空が薄暗い場合はピンク系やゴールド系を使用します。

 

カツオ狙いでの高実績のタングステン製メタルジグ

 

アシストフック

リーダー側のフックを「フロントフック」、ジグを魚で例えると尾ビレ側のフックを「リアフック」と言い、イラストのようにスナップやスプリットリングを使用して取付けます。

使用するフックは「アシストフック」を使用します。

カツオ狙いではフロントフックのみを使用し、リアフックは使用しません。アシストフックのサイズは最初のイラストのように、ジグの幅より大きなフックを使用します。

フックのヒモは太すぎるものはNGで、色は茶色や黒などの目立たないものを使用します。

フックの種類は、フックが一つの「シングルフック」と二つの「ダブル(ツイン)フック」があり、特徴は以下のようになります。

シングルフックの特徴

  • 高活性時に有効
  • リーダーと絡まる確率が少ない
  • 魚をバラしにくい

ダブルフックの特徴

  • 低活性時に有効
  • 魚が針に掛かる確率がシングルフックより高い
  • アワセの時に力が分散される為、シングルより針掛かりが浅くなる
  • スレ掛かりが増える

 

 

トップウォーター

トップウォーターは、主に水面を狙うルアーです。トップウォーターの中でも、いくつかの種類があり、カツオ狙いでは「ペンシル」「シンキングペンシル」「ポッパー」を使用し、大きさは18cm以下のものを主に使用します。

これらのルアーは、プラスチック製 又は木製で、素材による違いは以下のような特徴があります。

 

プラスチック製の特徴

  • 個体差が少ない
  • 木製より強度が高い
  • 価格が安い
  • 見た目がリアル

 

木製の特徴

  • 個体差が大きい為、同じルアーでも動きが異なる場合がある
  • 海水に馴染みやすく、動きが良い
  • 使用後のメンテナンスは必須(ぬるま湯で洗い、よく乾燥させる)
  • 高温多湿の場所での保管NG
  • 価格が高い

 

ペンシル

ペンシルは水面を滑るように動かせる事のできるルアーです。ペンシルの中にも、ロッドコントロールで水中へダイブするものもあり、様々なアクションを演出できるルアーです。

 

シンキングペンシル

その名の通り、ペンシルのシンキング(沈む)タイプのルアーで、ルアーを止めると沈み、リールを巻くと浮き上がります。通常のペンシルより重く飛距離が出せる事が特徴です。

 

ポッパー

小魚が口を開けたような形のルアーで、ロッドアクションをつける事で水しぶきを上げながら動く事が特徴です。口を大きく開けた大口のものは、飛距離は落ちますが、水しぶきが多くアピールに向いていて、小口のものは、水しぶきは小さいものの、空気抵抗が少ない為、飛距離を出す事ができます。

 

スプリットリング

  • サイズ : #5~6(強化スプリットリング)

スプリットリングはジギング以外にもルアーフィッシングでは必須のアイテムです。スプリットリングは、ジグとソリッドリング又はスイベルやフックを接続する為に使用します。

そして、スプリットリングに直接リーダーを結ぶ事はNGです。大物とのやり取り時など、リングの端の角の部分とリーダーが擦れ、切れてしまう可能性があります。

 

ソリッドリング

  • サイズ : #5~6

ソリッドリングは「Oリング」や「溶接リング」とも呼ばれ、スプリットリングと組み合わせて使用し、リーダーはソリッドリングに結びます。ソリッドリングを使用する事でリーダーへのダメージを抑え、ジグの取替えもやりやすくなります。

 

スイベル

  • サイズ : #3~5(強化スイベル)
  • 種類 : ボールベアリング

スイベルは「サルカン」とも呼ばれ、ルアーフィッシング以外にもエサ釣りでは必須のアイテムです。スイベルを使用する事でジグの動きを最大限に活かせる事ができます。

ジギングでは回転性能を高めた「ボールベアリングスイベル」を主に使用します。

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