スッテを使用したシリヤケイカ釣りの基本的なタックルです。(イラストをクリックすると拡大して見る事ができます)
シリヤケイカはコウイカの仲間で、胴体部に硬い甲を持ったイカです。甲の主成分は貝殻と同じカルシウムでできています。肉食性で小魚を捕食している為、疑似餌を使用した釣り方で狙う事ができ、「エギ」という疑似餌を使用したゲーム性の高いエギングや、「スッテ」と言う疑似餌を使用した釣り方があります。
今回は、スッテを使用したシリヤケイカ釣りの紹介です。スッテもエギと同じ疑似餌ですが、大きな違いは、エギはオモリが付いているので単体で使用する事ができますが、スッテはオモリが付いていない為、別にオモリが必要になります。釣り方もエギングとは異なり、スッテ仕掛けの場合は、スッテを動かさずに待っているだけでも釣れます。
釣果を伸ばす為には相手を知る事が大事です。と言う事で、シリヤケイカの紹介です。
シリヤケイカってどんなイカ?
胴体部の長さが25cm程にまで成長し、硬い甲が胴体部にある事が特徴です。
水深10~100mの障害物が少ない砂泥の底付近に生息し、肉食性で甲殻類や小魚を襲い捕食しています。
産卵期は4~7月で、浅場の海藻やなどに産卵します。孵化したシリヤケイカは浅場で過ごし、冬で海水温が下がってくると深場へ移動します。春になると成長したシリヤケイカは産卵の為、再び浅場へ移動し、産卵をすると死んでしまい、寿命は1年と言われています。
胴体の尻(腕の反対側のエンペラ側の先)から茶褐色の液体を出し、この液体で尻が焼けて見える事から「シリヤケイカ」と言われています。
シリヤケイカは価格も安く、味や食感はコウイカより劣ります。粘液で漁で使用する網など汚される為、漁師から嫌がられ、あまり市場には流通しません。しかし、刺身や天ぷらなど、普通のイカと同じように調理する事ができ、美味しく頂く事ができます。
釣れる時期
狙える時期は5~11月で、中でも梅雨時期が釣りやすい時期になります。
水深のある堤防などでは一年中狙う事もできる場所もあります。
一部地域では、梅雨時期に産卵の為に群れで堤防などに押し寄せ、簡単に釣る事ができる現象も発生しています。
時間帯について
夕まづめ以降に活性が上がり狙い目で、夜に投光器を使用すると、光でシリヤケイが集まってきます。
大雨などで濁りが多い状況では釣る事は難しくなります。
そして、大潮の日が釣れる確率が高くなります。
リールの選び方
投げ釣りの場合は、使用するラインが150m以上巻けるスピニングリールを使用し、足元狙いの場合は、100m以上巻けるスピニングリールを使用します。
リールには「ギア比」があり、数値が大きいとリールのハンドル1回転でラインを巻き取れる長さが長くなります。リールにパワーが必要な場合はギア比の小さいリールを、仕掛けを素早く回収し手返しよく釣りをする場合や、糸フケを素早く取りたい場合などはギア比の高いリールを使用します。
オススメリールサイズは・・・
ダイワは2500~3000番
シマノは2500~3000番
※各メーカーでシャロースプールモデルなど、同じ型番でも糸巻量が違うものがあるので、購入の際は糸巻量を確認して下さい。
入門用オススメリール
価格が抑えられた釣り具大手メーカー(ダイワ)のこの釣りに向いているスピニングリールで、ラインとセットになったお得な機種になります。多くのスピニングリールのハンドルは、右巻き、左巻きのどちらにも自由に変えられる特徴があります。
中級クラス オススメリール
初心者向けリールより基本性能が高く、耐久性も上がっている為、少し高性能なリールが欲しい、長くリールを使用したい方などにも向いています。
高性能オススメリール
最高性能のスピニングリールです。性能重視の為、価格は高額になってしまいますが、ドラグ性能、ハンドルを回した時の滑らかさなど、様々な面でトップクラスの性能を誇っています。
ロッドの選び方
投げ釣りの場合は、エギングロッド、シーバスロッド(アクションML~MH)、柔らかめの投げ竿で長さが7~12フィート(2.1~3.6m)のものを使用します。
足元狙いの場合は、エギングロッド、シーバスロッド(アクションL~ML)、バスロッド(アクションL~M)で長さが6~8フィート(1.8~2.4m)のものを使用します。
ルアーロッドは大きく分けて「スピニングロッド」「ベイトロッド」の2種類に分かれます。
スピニングロッドにはスピニングリールを組合わせて使用(通称:スピニングタックル)し、ベイトロッドにはベイトリールを組合わせて使用(通称:ベイトタックル)します。
初心者はスピニングタックルの使用をオススメします。スピニングタックルは扱いやすく、ベイトタックルに比べトラブルが少ない事が特徴です。
ルアーロッドの場合、長さはft(フィート)とinch(インチ)で表す事が多く、以下のような計算方法になります。
- 1ft=30.48cm
- 1inch=2.54cm
- 1ft=12inch
- 例 9.6ft=(30.48×9)+(2.54×6)=289.56cm
- 例 7.11ft=(30.48×7)+(2.54×11)=241.3cm
そして、ロッドには使用できるルアーの重量やエギの号数、アクションが記載されています。アクションはロッドの硬さで、ルアーロッドで主に使われている表記は以下のようになります。
- UL(ウルトラライト)
- L(ライト)
- ML(ミディアムライト)
- M(ミディアム)
- MH(ミディアムヘビー)
- H(ヘビー)
UL(ウルトラライト)は柔らかめ、L(ライト)→ML(ミディアムライト)→M(ミディアム)→MH(ミディアムヘビー)→H(ヘビー)と徐々に硬くなります。
使用できるルアーの重量とアクションは関係性があり、一般的なロッドではアクションがUL(ウルトラライト)などの柔らかいロッドは、軽いルアーは扱いやすいけれど、重いルアーは投げる事すら困難です。H(ヘビー)などの硬いロッドは、重いルアーを使用できるようになりますが、軽いルアーは扱いにくくなります。
入門用オススメロッド
価格が抑えられた初心者向けルアーロッド。汎用性が高く、エギング、シーバス、ちょい投げ等、色々使用する事ができます。
中級クラス オススメロッド
エギングロッドは操作性、感度が優れているのでスッテを使用した仕掛けにもオススメです。
高性能オススメロッド
性能重視の為、価格は上がってしまいますが、グリップの形状にもこだわり、細かい所の作りもしっかりしている為、見た目も良いロッドになっています。
道糸の選び方
投げ釣りの場合は、PE0.8~1.5号を使用します。
足元狙いの場合は、PE0.8~1.2号、ナイロンやフロロカーボンラインは2.5~4号(10~16lb)を使用します。
素材については主にナイロン、フロロカーボン、PEラインの3種類ありますが、感度が重要なイカ釣りでは感度に優れたPEラインがオススメです。
ラインには、それぞれ以下のような特徴があります。
ナイロンラインの特徴
- 価格が安い
- 糸グセはフロロカーボン製より付きにくい
- 扱いやすい
- 伸縮性がある為、衝撃を吸収できる
- 感度は劣る
フロロカーボンラインの特徴
- 根ズレに強い
- 透明度が高い
- 伸縮性はナイロンより少ない
- 糸グセが付きやすい為、扱いにくい
PEラインの特徴
- 糸グセは、ほぼ無し
- スッテの飛距離を出せる
- 伸縮性は、ほぼ無し
- ラインの中で一番高感度
- 価格が高い
- 根ズレに弱い
- 熱に弱い(結ぶ時の摩擦熱に注意が必要。摩擦熱を発生させないようにゆっくり結ぶ)
オススメPEライン
とにかく安いPEラインを使用したい方にオススメ
安いPEラインを使用したいけど、激安な物では心配と言う方にオススメ
エギング用高性能PEライン
スッテの選び方
スッテ(コウイカ用)8~11cmを1~3本使用します。
スッテのカラーは、日中で潮が澄んでいる場合は、グリーン、パープル、ブルーなどのリアルカラー。日中でも潮が濁っている場合は、オレンジやピンクなどのアピールカラー。夜は、レッドヘッドや夜光、オレンジやピンクも効果的です。
便利グッズ
投光器
イカは光に集まる習性があり、港に設置されている常夜灯の下は良いポインになる為、人気があり場所を確保する事が難しいと思います。
灯りの無いところに灯りを作ればいいのですが、手持ちのLEDライトでは光が弱い・・・。かと言って、発電機と投光器を準備するとなると、設備が大掛かりなものになり、お金も掛かってしまいます。
そんな時に活躍するのがバッテリー式LED投光器です。
投光器の光は広範囲に広がるものが多く、海面を広く照らす事ができます。そして、最近のLED投光器は、小型化、薄型化、軽量化され、防水タイプもあり使い勝手は上がっています。
現在、市販されている最強クラスの光量のバッテリー式投光器はこちら
イカ活チャ器
釣ったイカを美味しく頂くには、イカを絞めることが必要になります。ナイフで絞めることもできますが、慣れていないと少々難しいと思います。
ここで活躍するのが、イカ活チャ器です。使い方は簡単、イカ活チャ器で胴体とゲソの部分を剥離させるだけです。慣れていなくても数秒でイカを絞めることができます。
ラインブレーカー
根掛かりする確率が高いこの釣りでは、根掛かりの対処が必要になります。根掛かりした仕掛けを無理やり引っ張ている人が見受けられますが、これではロッドやリールに負担が掛かってしまい、最悪の場合、ロッドやリールが破損してしまいます。
ここでオススメするものが、ラインブレーカーと言う道具です。
金属の筒の周りに滑り止めが巻いてある構造で、根掛かりした場合、ラインをラインブレーカーに巻き付けて引っ張り、ラインをカットします。
ラインを結ぶ場合にも使用できるので、一つは持っていたい便利グッズです。
釣りのコツ
- シリヤケイカは底付近に潜んでいる事が多い為、底付近を狙う
- 海底にオモリを着けて、糸を張って待つ
- スッテを激しく動かさない
- アワセはしっかり行う
注意点
- スッテにはカエシが無い為、、イカが乗っている(針に掛かっている)状態ではラインをたるませない
- スッテや糸に墨が付いていたら、ブラシ等でキレイに取る
釣れない場合の確認ポイント
釣り場
シリヤケイがいないのに仕掛けを投げたって釣れません。砂泥底や海藻が生えている場所がポイントになります。
初めて行く場所などでは、事前に地元の釣具屋などで情報収集をしましょう。
底をとれていない
底を取れていない(オモリが海底まで沈められていない)と釣れる確率は下がります。
アワセ
アワセは、スッテにイカを引っ掛ける為には必要です。方法は違和感を感じたら、ロッドを上に大きく動かし、スッテを瞬間的に強く引っ張ります。イカが掛かっても、すぐにバレて(針から外れ逃げられる)しまう場合は、アワセていないか、アワセの力が弱い可能性があります。
アワセていなくても、しばらくはイカが乗っている(針に掛かっている)ような感覚ですが、イカがスッテに抱き着いているだけの状態なので、すぐにバレてしまいます。
イカの重みを十分に感じてからアワセてもOKです。
幹糸、枝糸
イカは目が良い為、幹糸や枝糸が太すぎると警戒されてしまいます。透明度の高いフロロカーボンの幹糸や枝糸がオススメです。
アクション(動かし方)
スッテ仕掛けの場合、ほとんどアクションは必要ありません。アクションを入れる場合は、スッテが小さくジャンプしているイメージで動かします。
ライン
ラインは常に張っている状態でないと、アタリを取る事はできません。そして、イカのアタリは魚に比べ分かりにくいのが特徴です。イカが高活性時は一気にエギに抱きついてきますが、エギを腕で突っついているような状況もあります。手元に何も感じなくても、ラインに反応が出る場合もあるので、違和感を感じたらアワセてみましょう。