船釣りタックル紹介 クロムツ(夜釣り)編

 

船からのクロムツの夜釣りの基本的なタックルです。(イラストをクリックすると拡大して見る事ができます)

船でのムツ釣りは、主に「アカムツ」、「クロムツ」狙いで出船している船宿があります。アカムツはノドグロの名前で有名な高級魚で数を狙う事は難しい魚ですが、クロムツは中深場の釣りでは比較的釣りやすく数が狙える魚です。

日中は数百mの深場にいるクロムツは、夜になると水深100m位の場所まで移動してきます。深い水深に生息しているクロムツほどサイズが大きい為、夜狙う事で、中深場釣りでは比較的浅い水深で良型のクロムツを釣る事ができます。

そして、夜は外道の活性も高く、歯の鋭い外道に道糸や仕掛けを切られてしまう場合が多い事も特徴の一つです。

釣果を伸ばす為には相手を知る事が大事です。と言う事でクロムツの紹介です。

 

クロムツってどんな魚?

大きいものでは70cm以上にまで成長する肉食魚です。水深200~700m程の岩礁域の底付近に生息し、幼魚は沿岸の浅い岩礁域に群れを作って生息しています。成魚は日中、深場にいる深海魚ですが、夜になると水深100m前後まで移動してきます。

歯が鋭い事が特徴で、歯に触れてしまった場合、カッターナイフで切られたような怪我をしてしまう可能性がある為、注意が必要です。

旬は秋~冬、産卵期は3~5月で、ムツは むつっこい(脂っこい)が名前の由来と言われていて、特に旬のクロムツの脂乗りは抜群です。

煮つけ、刺身、焼き、鍋など色々な料理方法で美味しく食べる事のできる魚です。

クロムツに近い魚で「アカムツ」が存在しますが、クロムツとアカムツは色が違うだけで同じ種類の魚のように見えるかもしれませんが、実は学術的分類は違うようです。少々、省略はしていますが、クロムツは「ムツ科」なのに対して、アカムツは「ホタルジャコ科」です。

 

リールの選び方

使用する道糸が300m以上巻ける 中型電動リールを使用します。

時期によってはサメにクロムツを横取りされてしまう場合があります。サメがいる場合は、電動リールの最高速巻きで対応する為、巻上速度の速い電動リールが向いています。そして、仕掛けを素早く回収できる為、巻上速度の速い電動リールはオススメです。

オススメ電動リールのサイズは・・・

ダイワは400~500番

シマノは2000~3000番

 

入門用オススメリール

価格が抑えられた釣り具大手メーカー(ダイワ、シマノ)のこの釣りに向いている電動リール。上位機種に比べ、多少スピードは落ちます。

 

中級クラス オススメリール

入門用リールより基本性能が高く、スピードや耐久性も上がっている為、少し高性能なリールが欲しい、長くリールを使用したい方などにも向いています。

 

高性能オススメリール

最高性能の電動リールです。性能重視の為、価格は上がってしまいますが、グレードの低いリールには無い機能や、パワー、スピードなど様々な面で性能が高くなっています。巻上速度はトップクラスになります。

 

バッテリーについて

電動リールを使用する為にはバッテリーが必要になります。バッテリーの種類で電動リールのパワーやスピードが上がる事はご存じでしょうか?

リチウムイオンバッテリーは鉛バッテリーに比べ、電動リールの巻上速度が上がります。この釣りでは、巻上速度が速いほど有利になりますので、リチウムイオンバッテリーはオススメです。

 

リチウムイオンバッテリーと鉛バッテリーについてはこちらへ

電動リールの性能UP!? リチウムイオンバッテリーとは?

 

ロッドの選び方

中深場ロッドが扱いやすいですが、アカムツロッド、ヤリイカロッド、ビシアジロッド、青物ロッドでも代用は可能です。

汎用の船釣りロッドの場合は、全長1.5~2.5m程で、8:2~7:3調子、使用するオモリが扱えるロッドを使用します。

ロッド選びで重要なのが、自分が一番扱いやすい長さのものをオススメします。船に魚を引き上げる時に時間をかけてしまうと、サメにクロムツを奪われてしまいます。

 

入門用オススメロッド

中深場狙いの釣りは竿への負担も大きいので信頼性の高いメーカーのロッドをオススメします。

 

中級クラス オススメロッド

初心者向けのロッドより基本性能が高く、しなやかさ、感度などが上がっている為、扱いやすくなっています。

 

高性能オススメロッド

性能重視の為、価格は上がってしまいますが、グリップの形状にもこだわり、細かい所の作りもしっかりしている為、見た目も良いロッドになっています。

 

仕掛け

道糸はPE3~5号を最低300mはリールに巻いて使用します。

クロムツは底付近にいて、道糸が足りなかったら釣る事は出来ないので、リールに巻いてある道糸の長さはしっかり確認して下さい。

この釣りでは、スミヤキ(正式和名:クロシビカマス)に道糸を切られてしまう可能性が高い為、予備の道糸を持って行くか、400m以上リールに巻いておく事をオススメします。

 

中深場釣りでは意外な大物が掛かる場合がありますので、糸はしっかり結びましょう。

道糸の結び方はこちらへ

これだけは覚えておきたいライン(釣り糸)の結び方 ラインと金具編

 

オススメ道糸

とにかく安い道糸を使用したい方にオススメなPEラインです。

 

安い道糸を使用したいけど、激安な物では心配と言う方にオススメです。8本組を採用していますので、強度が高く、激安のものに比べて色落ちもそこまで酷くはありません。

 

仕掛け

夜釣りで使用するクロムツの仕掛けは、幹糸、ハリス、針、オモリを使用したシンプルな1~5本針の胴突仕掛けです。夜釣りでは、日中以上に外道やサメに仕掛けをダメにされてしまう可能性が高い為、予備の仕掛けは多めに必要になります。

 

幹糸について

10号を使用します。

中深場の釣りでは歯の鋭い魚が多い為、素材は根ズレに強いフロロカーボンを使用します。

 

ハリスについて

8号を50~75cm使用します。

幹糸同様、素材は根ズレに強いフロロカーボンを使用します。

 

針について

ムツ16~18号を3~5本針で使用します。

サメが多い場合は針の本数を減らして、クロムツを1匹ずつ釣り上げます。

 

オモリについて

主に150号のオモリを使用します。

オモリの号数はエリアや船宿で決められている為、わからない場合は事前に確認が必要です。

 

サメやスミヤキの邪魔が多い場合、オモリの予備も多めに必要になります。

 

便利グッズ

マグネット仕掛け置き

風が強い日やポイント移動時、風で仕掛けが流され扱いにくい状況になる事があります。

このような状況で活躍するのが、第一精工の「ウルトラマグネット」です。

ウルトラマグネットは磁石で出来ている仕掛け置きで、ロッドホルダーなどに挟み込んで固定します。磁石が比較的強くなっている為、小さな針でもしっかり固定する事ができるので、ポイント移動時や、風が強い日などでも仕掛けが扱いやすくなり、仕掛けが絡まる事も防止できます。

 

釣りのコツ

  • 底付近を狙う。海底から数m上でも釣れる為、海底ギリギリを狙わない
  • 1匹掛かってもすぐ巻き上げず、追い食いを狙う
  • サメがいる場合は、電動リールの最高速巻きで対応
  • リールのドラグは使用しない為、キツく締める
  • 仕掛け、オモリの予備は多めに準備する

 

釣りの注意点

  • オモリを底に着底したまま放置しない
  • 船の揺れでオモリが海底をノックしている状態はNG
  • サメが血の臭いで寄ってくる為、外道や魚を絞めた時に出た内臓などは海に捨てない。
  • サメがジャンプして襲ってくる可能性がある為、船から身を乗り出さない
  • クロムツは歯が鋭い為、取り扱い注意

 

周りが釣れているのに、自分だけが釣れない場合の確認ポイント

誘い方

クロムツの反応が良い誘い方は状況により変わり、ほとんど動かさない方が釣れる日もあれば、激しく動かした方が釣れる日もあります。誘い方が分からない場合は、釣れている人のマネをするか、船長に聞いてみましょう。

 

タナ(狙う水深)

タナ(狙う水深)が間違えていると、ほとんど釣れません。一人だけ外道ばかり釣れてしまう時などは、タナが間違えている可能性が高いです。

そして、海上で船は動いていないように見えても、潮に流され常に移動しています。移動する事によって、水深も変わっていく為、仕掛けをそのまま放置していると、クロムツのいるタナから外れてしまう事があります。底ダチ取り(底の確認)をして、船長の指示したタナに合わせましょう。

 

仕掛け

目立つ仕掛け(夜光玉など)を使用していると、外道を多く寄せてしまいます。

 

サメにクロムツを横取りされる

巻上速度が遅いのが主な原因です。それと、魚を船に引き上げる時、船に近づくと電動リールは自動で巻き上げ速度が遅くなります。夜釣りでは、サメは水面ギリギリまで襲ってくる為、巻き上げ速度が遅くなるタイミングで襲ってきます。

対策は、電動リールで巻き上げている最中も手動でリールを巻き、魚を止める事なく一気に船の上まで引き上げます。

それでもサメにやられてしまう場合、魚は追い食いを狙わず1匹ずつ釣ります。そうする事で、数匹針にかけて巻き上げるより、巻き上げ速度は速くなります。

 

道糸を切られる

道糸により、スミヤキに狙われやすいものがあります。あるメーカーの新品の道糸が狙われやすいと言った傾向もある為、予備の道糸はリールに巻いてあるものと別のメーカーを準備し、メインで使用している道糸が、他の人よりも明らかにスミヤキに切られている場合、予備のラインを使用すると被害を減らせる可能性があります。

後ほど、リーダーを使用した対策方法も紹介しています。

 

自分だけオマツリ・根掛かり多発

オモリが海底を引きずっている状態や、オモリが海底をノックしている状態が続くと、オマツリの原因になり、根掛かりの可能性もあがります。オモリが海底に着いたら、すぐに糸フケを取りましょう。

道糸が太すぎる場合もオマツリの原因になります。

 

スミヤキ対策

スミヤキ(正式和名:クロシビカマス)は、鋭い歯で道糸を喰いちぎってしまう、この釣りでの厄介者です。

スミヤキ対策で有効なのが、リーダーを使用する事です。

まともにかじられたら切れてしまう可能性はありますが、PEラインよりはスミヤキの歯に対して強いので切れにくくなります。

使用するリーダーは5~8号(20~30lb)を10~30m程使用します。フロロカーボン製の船釣り用のハリスやルアー用のショックリーダーを使用します。

 

 

道糸とリーダーの結び方は、ルアー釣りで よく使用されている「FGノット」がオススメです。FGノットは、結ぶのに時間がかかりますが、電車結びなどに比べると結び目が細いという利点があります。結び目が細い為、高速巻上でも結び目がロッドのガイドに引っ掛かる事なく、スムーズに巻き取る事ができます。

 

道糸とリーダーの結び方はこちらへ

これだけは覚えておきたいライン(釣り糸)の結び方 ラインとライン編

 

通常のハリスは100m前後で販売されているものが多いですが、こちらは200mでお買い得なハリスになります。

 

最後に

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